盆綱引き

開催日8月15日(土)
時間夜(日が暮れてから)※綱づくりは当日の朝から
会場谷山の集落内の道路
主催古賀市観光協会
電話📞 092-940-2300
市指定無形民俗文化財(2019年)
  • 約50m引き合う大綱の長さ
  • 江戸時代から谷山に伝わる
  • 県内2カ所「引き合う」形式が残るのは

夏の夜、真っ暗になった集落の道に大人と子どもの掛け声が響く——古賀市谷山地区に江戸時代から伝わる、他では見られない「振り回す」綱引き。

どんな行事? 谷山八幡宮で編む、50メートルの大綱

綱の材料は時代とともに変わってきました。かつては山から採ってきたカズラ(蔓)を使っていましたが、昭和20年代以降は稲藁に変わり、農家が提供する藁を子どもたちが集めて綱にしていたといいます。本番前、谷山の八幡宮境内では、二又に分かれた大木に綱をかけ、3人がかりで3本の束を左綯いによじり合わせ、そこから鳥居まで届く長さ(年によって変わりますが、およそ50〜60m)を4時間ほどかけて編み上げます。完成した綱は軽トラックで会場まで運ばれ、日が落ちてすっかり暗くなったころ、太鼓の合図とともに、海側の若手(消防団など)と山側の子ども会に分かれて綱引きが始まります。

見どころは「振り回し」と、実は仕組まれた3本勝負

前後に引くだけでなく、道路脇の壁ぎりぎりまで綱ごと左右に大きく振り回すのがこの綱引きの豪快なスタイルです。ただの力比べではない、他の綱引きでは見られない光景が広がります。

さらに面白いのが3本勝負の展開です。1本目は海側(大人)が勝つのが通例ですが、2本目からは「がぶれ、がぶれ」という掛け声とともに、海側の若手の一部が山側に加勢し、山側(子ども)が2本連取して勝利する——という筋書きになっているといいます。子ども側が必ず勝つことで、毎年「豊作」の吉兆が成立する仕組みです。

「綱を引いた子どもは1年無事に過ごせる」
「子どもたちが勝てば豊作」
— 谷山地区に残る言い伝え

江戸時代から続き、県内でここだけに残った行事

盆綱引きそのものの起源を直接示す谷山の記録は残っていませんが、江戸時代後期の地誌『筑前名所図記』(安政6年ごろ)には、旧暦7月15日に村々でカズラや萱を使った綱を作り、引き合うことで「暑さによる病を除ける」とする風習が記されており、北部九州一帯に古くからあった行事の名残とみられます。地元では「第178回」と数えられた年もあったとされますが、これはあくまで口伝によるもので公式な記録ではありません。

こうした盆綱引きは、かつて福岡県内で160カ所ほどで行われていたとされますが、道路の舗装や少子高齢化、綱の材料調達の難しさなどから、現在確認できるのは31地区のみ。しかも「綱を引き合う」この形式が残っているのは、谷山地区と宗像市田野の2カ所だけといわれています。谷山では2012年、地元有志が「語り隊」を結成。農家の減少で藁の提供が難しくなる中、自分たちで田んぼを借りてもち米を栽培し、その収益を綱作りの資金に充てるなどして、行事を守り続けています。

その他

  • 沿道で見物する人の姿もあり、市長や県議会関係者が視察に訪れたこともある行事です。